“タイムドメインスピーカーで聴く、DSD(ハイレゾ)体験会 with由井啓之”開催!

2015年12月12日にT-Loop試聴室にて、タイムドメインスピーカーの開発者である由井社長にお越しいただき、DSD/ハイレゾ/アナログレコードの試聴会を開催しました。

告知直後から多くの参加希望をいただき、いつもの試聴室の隣に臨時の試聴会場を設けました。

このスペースは、左右の壁の質が大きく違うため、お聴きいただくには仮題がありました。今回ご縁があって株式会社静科様のご協力をいただくことができ、音響用パネル「SHIZUKA Stillness Panel」をお借りすることができました。

写真のパネルは50×50cmのものですが、実際には左の幕の裏に100×100cmのパネルを2枚使用しています。
これまで、反射の多い右壁に対し、抜け過ぎていた左の壁にSHIZUKA Stillness Panelを2枚設置することで、中央で鳴るべき音が中央に来るようになり、かなりバランスの良い状態で試聴していただくことができるようになりました。

さて、会場の準備も終わり、開始時間に向けてお客様も続々と到着し、試聴会が始まりとなりました。

まずは、タイムドメイン社社長であり、タイムドメインスピーカーの開発者である由井啓之氏から、タイムドメインスピーカーの考え方やしくみの説明がありました。

そして、Yoshii9の最適なスピーカー間隔の話になり、いろいろ試した結果が30〜40cmとのこと。ほぼ左右マイクもしくは頭の耳くらいの間隔でしょうか。確かに音像が一番濃くなるような聴こえ方です。

タイムドメインスピーカーをお持ちの方は、是非ご自宅で試してみてください。

また、音を考える上での重要な点として、音は空気の圧力波であることから、スピーカーではコーン紙の変位が大事なのではなく、コーンの加速度が大事であるとの説明があり、「これを勘違いしているオーディオメーカーがほとんどだから、オーディオ機器の音はいつまでたっても迷走し続けている」とのことでした。

ただし、「振動板の変位で圧力を作れているものもある!」と。

それは、In Ear型のヘッドホン!

イヤホンで耳の穴を密閉すれば、その振動板の変位が直接鼓膜に圧力をかけることになるので、音が崩れずに伝わるわけです。

どうでしょう?

皆さんの経験則の中で思い当たることはないでしょうか?

このイヤホンで、In Ear型マイクの耳付きバイノーラルマイクで録った音源なら、かなり正確な3D立体音が聴けるかと思います。

しかし、実際にそのようなバイノーラル専用音源は少ないので、ほとんどの音源ではコーンの加速度で設計されたタイムドメインスピーカーの音を自分の耳のシワで聴く方が、よりストレスなく立体音空間を感じられると思います。

さあ、ここまででもかなり濃い内容でしたが、いよいよ本題のDSD音源の試聴会です。

DSDの試聴は、iFi-Audio micro iDSD PCオーディオDSDセットを使用し、DSDとPCMの違いがわかる音源を聴き比べていただきました。

グラスの演奏をDSD128(5.6MHz)で録音したものを使い、それをソフトウェアでDSD64(2.8MHz)、PCM192、PCM96、PCM44.1に変換して、それぞれネイティブ再生した場合に音がどう変化するかという試聴です。

DSD128の再生では、一打一打の余韻が極微細な消え際までキレイに減衰するのに対し、PCMにすると192kHzであっても微細な余韻が消えてしまう上、アタックの音が耳に痛くなってきます。

この音源では、元の音源であるものが無くなることと、余韻の質が変わってしまうため、それぞれの形式と得意不得意が、皆様にもよくお分かりいただけたようです。

次に、今度はデータ変換一切無しの音源による比較試聴です。

スタジオで演奏した音を、同時にDSD/PCM合わせて6種類のフォーマットで録音したものを聴いていただきました。

これは、ソフトウェアによる変換のクセが入る余地のない音源です。

主な違いは、太鼓の響きが残るか残らず音がぶつぶつに切れてしまうかと、サックスの音の痛さの違いだったので、聞き慣れないと気がつかない方も多いかと思いましたが、会場の皆様は、DSD256の次にDSD128を鳴らした時点で、4分の一以上の方の表情が変わり、続いてPCM384kHzのあと、PCM192kHzを鳴らした時点ではほとんどの方に違いがお分かりいただけたようでした。

さすが、普段Yoshii9やタイムドメインスピーカーを聴かれている方々で、あるべきものが無くなったことには、すぐに気付かれたようです。

皆様にDSD音源の美味しいところをお解りいただいたところで、お勧めの音源を何曲か紹介し、音場の広がりと生々しさを楽しんでいただきました。

続いては、アナログレコードの試聴です。

使用機材は、由井社長推奨のaudioTechnica AT-PL30とiFi-Audio Retro STERO 50 Retroピュアセットを使用しました。ただし、スピーカーはmidTowerではなく、試聴会の最初からお聴きいただいていたYoshii9 Premiumです。

アナログレコードは、由井社長にピックアップしていただいたお勧め盤4枚を、京都からお持ちいただきました。

まずは、audioTechnica AT-PL30内蔵のフォノイコライザーをオンにして、直接YA-1経由でYoshii9 Premiumを鳴らしました。

いずれもアナログレコードの音というより、より生々しい音。

由井社長には、一枚一枚に対する蘊蓄もたっぷり語っていただきました。

最後の1枚は、Londonレーベルの古い録音のクラシックもの。

一度audioTechnica AT-PL30のフォノイコライザーで聴いた後、iFi-Audio Retro STERO 50に切り替えて、もう一度。

今度は、標準のRIAAカーブとLondonの元であるDeccaカーブで聴き比べていただきました。iFi-Audio Retro STERO 50は、イコライザーのDirect Inputスイッチをオン・オフすることで、オン(RIAAカーブ)と、オフ(Deccaカーブ)を簡単に聴き比べられます。

実際に聴くと、劇的な違いというより、楽器の音により深みが出るのと、演奏者の奥行きが広がるところが違いとなります。

これも、従来のオーディオしか聴いた事が無い方にとっては、そういった評価軸がなくて、違いも訳もわからないかもしれません。

しかし、Yoshii9オーナー比率の高い参加者の方々は、結構すぐに音の違いに気付かれた様子でした。

続いて、弊社で数年前に購入したジャズの定番「エラ&ルイス」をお聴かせしました。

このアルバムは近年再版された盤ですが、録音は1957年のものです。そして、どうやら原盤も1957年のままのようで、ジャケットの裏面にはDMMの文字がありました。

これまで、当たり前のように標準のRIAAカーブで聴いてきたわけですが、これをiFi-Audio Retro STERO 50のDMMカーブに切り替えると、エラの声により落ち着いた深みが出てきます。聴いてしまうと、こちらの方が人間らしいというか、生らしい声が聴こえてきます。

アナログレコードの音は、予めイコライザーカーブで歪めて盤に記録されているわけで、それをフラットに戻して、正しい音で聴くと、本来の音の広がりや声の質までストレスがなくなるようです。

もう一枚、デニス・ブラウンのモーツァルト「ホルン協奏曲」を聴いていただきました。

こちらも、ざわついていたホルンの音が落ち着いて、より豊かな音になる傾向。

1980年以降の新しい盤は標準カーブに対応していれば問題ないとしても、古いクラシックやジャズが好きであれば、正しい音で聴くことは必須であることが、皆様にもお解りいただけたと思います。

そして、一つ問題なのは、名演奏のベスト盤など古い原盤を使ったものは、たとえ2000年以降に発売された盤でも古いカーブがそのまま再発売されてしまうということでしょう。
イコライザーカーブの業界統一は未だに成されていない訳です。

従来のスピーカーでは問題にならなかった違いかもしれませんが、高忠実のタイムドメインスピーカーなら、是非フラットに戻した正しい音で聴くことで、音がより生き生きして聴こえ、より深く楽しんでもらえると思います。

さて、予定していたデモンストレーションが終わった所で、皆さんからの質問タイム。

DSD試聴会だけあって、皆様DSDデータのことや再生環境の感心が高いようで、再生機器の質問がいくつか挙がりました。

Andriod携帯、Rasberry PIによる再生専用マシンについては、検証してないので何とも言えませんが、再生環境を究極に突き詰めたプレーヤーとして、Lotoo PAW Goldをご紹介しました。

Rasberry PIを使うというのは、Windowsのような多機能OSではなく、音楽再生に特化したPCを作って余計なノイズや劣化要因から逃げたいということと思いますが、それならばと専用の組み込みOSでSDカード再生のみに特化したのが、Lotoo PAW GoldというSDカードプレーヤーです。
汎用OSはどうしても機能以外の汎用処理が入りますが、組み込みOSはその機器に必要なプログラムしか存在しないので、遅いCPUでも処理が可能で、余計なノイズを出すことがありません。しかも電池駆動ですから、PCノイズや電源ノイズと縁を切った究極の据置型再生環境とも言えます。

由井社長も、Lotoo PAW Goldの小さくて硬い筐体を叩きながら、「こういう響かないのがいいんです!」とおっしゃっていました。

そのはずで、小さくてずんぐりむっくりした形に、航空機用ジュラルミンという筐体+サファイヤガラスは、徹底した振動対策にもなっています。回路的にも時間軸(タイムドメイン)のブレが極端に少ない低ジッター設計となっており、結果タイムドメインを重視した音が出てきています。

この純度の高い上流は、タイムドメインスピーカーを楽しむには、最適で究極の再生環境ではないでしょうか?

今回の主旨とは少し外れますが、CD音源を手軽に自作DACでしか味わえない領域で楽しみたい人にとっては、据置機として一度試していただきたいと思います。

ちなみに、このLotoo PAW GoldとYoshii9 Premiumを使って、SDカード違いの比較試聴もしていただきました。

これも、聴き慣れなければ解らないかもしれないレベルの比較となりますが、半分以上の方が「良くなった」との反応をいただきました。

これは、何を代えたかと言うと、一般的なPC用64GBmicro SDXCカードをSONY製音楽専用64GBmicro SDXCカードにして、聴いていただきました。

純度の低い、スピーカーやヘッドホン、アンプ、DACなら、いとも簡単に吹っ飛んでわからなくなってしまうような変化かもしれませんが、高忠実のタイムドメインスピーカーに、純度の高い再生機器を組み合わせることで、このSONY製音楽専用64GBmicro SDXCカードの改善点が享受できるようになるわけです。

道具を備えた選ばれし者達には、是非この世界を味わっていただきたいと思います。

さて、3時間を用意した試聴会もあっという間にお時間となりました。

最後に試聴会参加者の購入特典等をご案内して、お開きとなりました。

皆様満足気な表情で何よりです。

お開き後は、個別に由井社長と話す方や、手持ちの音源を試す方など、試聴会の熱気はしばらく続いた次第です。

今回、京都から出張していただいたタイムドメイン社の方々には、大変感謝しております。そして、のべ20名近くもお越しいただいたご来場者の方々にも深く感謝する次第です。

皆様に、新たな音楽の楽しみ方が増える機会になればと幸います。

なお、タイムドメインスピーカーやmicro iDSDの試聴については、随時受け付けておりますので、個別にじっくりお聴きになりたい方は、下記ページのフォームからお問い合わせください。

T-Loop試聴室ページ